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☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.208 2007/03/05 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
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生きがいの組織論(3) −野田一夫さんの視点−
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 ピーター・ドラッカーの「現代の経営」の監訳者であり、多摩大学名誉
学長など、学術のキャリアだけではなく、財団法人日本総合研究所理事長
など、企業の実態にも詳しい野田一夫さんの組織論に触れてみたい。

 日本的集団主義の復権を唱える意図を野田さんは次のように述べている。

「集団主義は"動機"の管理である。アメリカ型の職務主義が企業の経済的
目的の達成をまず志向し、それに対して目的合理的に体系づけられた組織
(職務の体系)を通して人間を間接的に管理せんとするのに対し、日本型の
集団主義は、まず企業従業員の動機(motivation)を通して間接的に仕事を
管理せんとする。採用、配置、教育、異動、給与、福利厚生等わが国産業界
で伝統的にとられてきた制度や慣行は、すべて結局は、集団成員の動機へ
の働きかけである。」

 最近の日本企業にみられる、「企業の経済的目的の達成をまず志向する」
成果主義の導入は、「企業従業員の動機(motivation)を通して間接的に仕事
を管理」してきた日本企業の魅力を失わせ、職場での絆が希薄となり、組織
としての能力を低下しているように思える。日本的集団主義の良さをぜひ
残したいものです。

 さらに、野田さんは成果主義に対し、次のように述べている。

「軽率にも、(1) アメリカ型能力主義(要素能力主義)によって、わが国でも
個人の能力の客観的評価が可能であると考えているのみか、同じく、
(2) アメリカ型能力主義(対価能力主義)の導入によって、働く人間の動機の
満足も最適に確保しうると考えているようだ。だが実は、現実性のきわめて
乏しい仮説である。」

 この仮説は「次元の低い、貧しい人間観」を前提にしている小田さんは
訴える。「人間の能力は、客観的に適性な仕事につくというだけではなく、
その仕事に満足し、意欲をもってとりくむことによって発揮されるものだと
すれば、わが国の場合に一般的なように、ある個人が彼の意志や意向と
かかわりなく、会社から仕事を与えられて働く個人の能力を、その実績を
もって評価することは、きわめて危険であるといえるわけである。」

 成果主義を導入する前提には、「人間の主体的な意志」「人間の動機」を
尊重しようとする人間観が必要であることを強く言っておきたい。

(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
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次回は、『ナニワ商人の家訓 −淀屋と鴻池−』です。
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