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☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.227 2007/07/16 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
http://www.sk-k.co.jp
http://www.sogokyouiku.com/ (ブログ)
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リーダーの指針(5) −修己治人−
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 大きな夢と希望のあるところは、大勢の同志、協力者が集うことが
分かりました。その時、リーダーとしての器が問われることになります。
器を大きくする修養と陶冶の大切さを説いた指針です。

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人を治めるには、まず、自分自身を修めることが前提となります。どんな
組織も、リーダーにその器があってこそ、活かすことができます。
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 「人を治めるには、まず、己(自分自身)を修めること」という言葉は、
もともと礼記の一部で、宋代(13世紀)に朱子が再編成し、独立させた
「大学」にある言葉です。「大学」は、昔から「己を修め人を治める道を
最も系統的に説いており、初学者の必ず修むべき書」といわれてきたもの
です。リーダーとしての心構えを作る道といってもよいでしょう。

 まず、全編の大綱である「三綱領」をご紹介いたします。

(1)「明徳を明らかにする」
 人には本来その本性に「仁・義・礼・智・信」の五常の徳が備わって
いますが、残念なことに、煩悩の闇に遮られ、隠れてしまいがちです。
そのことに気付き、諸徳を磨き、発揮することがリーダーとして己を
修める第一歩です。

「仁」・・・儒教における最高徳目で、他人にやさしく、思いやりの心を
      もって共生を実現しようとする生き方
「義」・・・正しい道理に合った生き方・正義やモラルにそった生き方
「礼」・・・相手を尊重し感謝する心・礼節を重んじる心
「智」・・・善悪を見極める知恵・認識する力
「信」・・・人を信じる心・素直な心・世の働きを受け入れる心

(2)民に親しむ
 人を治める原則を説いたものです。私たち、人間の生命体としての存在は、
自然が私たちに与えた働きの力がなくては、一時も生きていることができません。
私たちを生かそうとする力が働いていることが分かります。

 この自然の法則にそって、縁があって社員や部下となった相手と一体と
なり、相手を生かしきろうとする姿勢です。本当に絆を大切にし、親しみ
を感じながら、愛を注ぐことを表した言葉です。

(3)至善に止まる
 至善と思われるものの実現に向け、人生の全てを掛けて取り組む生き方
であり、己の生活の中心に据えて、わき目もふらずに精進することを意味
します。論語の中に「君子は義に喩(さと)り小人は利に喩る」という語が
ありますが、企業の経営理念とは、組織の義であり、志です。経営理念実現
の道は、至善への道でもあります。経営理念を高らかに掲げ直すことです。
まず何が第一義であるか、組織と人が存在理由を明らかにする至善と思われる
ものに邁進することこそ経営でありましょう。
 
 次に、物事の考え方「本末論」をご紹介します。

(1)短期的視点から長期的視点へ
 目の前のことに目を奪われることなく、できるだけ長い目で見ることです。
経営戦略が短期だけでなく、地球環境の変化に与える影響というレベルで、
中長期で、社会・市場・顧客の変化を予測して戦略を組み立てることを言います。

(2)一面思考から多面思考へ
 物事の一面に囚われないで、できるだけ多面的に見る、考えるということ
です。しかし、私たちが物事を認識する場合、どうしても過去の経験や知識に
基づいたデータベースでしか認識できないという限界があります。であるが
ゆえに、人の話に耳を傾けられる謙虚さが必要になります。

(3)戦術的思考から戦略的思考へ
 何事によらず枝葉末節に囚われないで、根本的に考えるということです。
よく方法・手段の論議は多く見受けられますが、何のためにやるのか、
目的や志のレベルで議論されることは多くはありません。

 最後は、「八条目」といわれる行動指針をご紹介します。

(1)天下を平かにすること
 世界平和、人類和楽の実現は他人ごとではありません。日々の行いに
その祈りと願いが必要です。

(2)国を治めること
 リーダーがまず手本とならなければなりません。そして、「己の欲せ
ざるところは人に施さず、己の欲するところを人に施す」という実践です。

(3)家を斉えること
 まずは、家庭内に思いやりと愛があふれていることから始めなければ
なりません。

(4)身を修めること
 好き嫌いで相手を見たり、思い込みでレッテルをはることなく、相手の
長所をあるがままに認めることです。

(5)心を正しくすること
 不安になったり、怒りに支配されることなく、感情を匡(ただ)すことの
大切さです。

(6)意を誠にすること
 我々の内に在る自らの魂の意志に耳を傾け、己の使命を果たそうとする
ことです。

(7)知を致すこと
 何が正しい道か、その道理を悟り、的確な判断ができるようになるために
必要な知識・智恵・経験を積むことです。

(8)物に格(いた)ること
 「知を致すこと」を通して、何が正しい道か、その道理を悟ることです。

(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
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次回は、『リーダーの指針(6) −私たちの知命元年−』です。
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