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☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.232 2007/08/20 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
http://www.sk-k.co.jp
http://www.sogokyouiku.com/ (ブログ)
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のお仕事においてこの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

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心の指針(2) −不同性−
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 総ての存在そのものが、本来、我が身そのものであるという「一体性」
の法則を理解いただいたみなさまは、対立を生み出しがちな他者との
分離感から自分を解放することができたことでしょう。

 今回取り上げる「不同性」とは、「一体性」と矛盾する考え方では
ありません。この世界を作っている源は一つですが、源から現れる時の
現象をよく見ると同じものは一つとして、存在しないということの意味
を「空間と時間」の両面から考えて見ましょう。

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(2)不同性
 世界に、一つとして同じものはありません。同じようでもミクロで
見ると違っています。さらに、全ては常に変化し、同じ状態は続きません。
万物が流転しています。
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 まず、空間的には、自然にあるものはもちろん、人間が作り出した品物
も、同じ形や大きさ、同じ性質を持つものは一つとして存在しません。同じ
ように見える道具や部品にしても、ミクロンとかナノ単位では、必ず寸法や
品質にバラつきがあります。もちろん、私たち人間も、顔かたちはもちろん、
性格も、能力も異なります。もっとも異なるのは、物の見方、考え方かも
知れません。

 自然界は、複数種の生物が相互に関係を持ちながら補完的な役割を果たし
合っている「共生」で成り立っているように、私たち人間社会も、様々な
価値観や生き方が、共に共存できる社会でありたいと思います。

 お釈迦様の教えの一つ、この世の中に孤立して存在するものは無い、互い
に影響し合っているという「諸法無我」の教えも、個々の存在を空間的に
捉えたものです。すべての物事は関係しあっているということです。私たちは、
どんな人も多くの人に支えられて生きています。自分と言う存在を大切に
したいなら、相手という存在を大切にするのは自然な行為なのです。

 次に、時間的に捉えると、すべてのものは、常に変化し、同じ状態であり
続けることは出来ません。「諸行無常」です。諸行とは一切のつくられた
ものを意味しますが、存在するものすべて、姿、形も本質も常に変化し、
同じ状態は続きません。万物が流転しています。これも宇宙の厳粛たる法則
です。

 この一つ一つが違うという「不同性」こそが、一つ一つの存在を何物にも
代えがたい存在価値を生み出しています。

 この原理を認識するなら、他人は自分と意見も違うし、違うのが当然であり、
むしろ自分が気付かない、思いもつかぬことを教えてくれる存在であると
考えることができます。意見が異なる腹立たしい存在から、むしろ有難い存在に
なるはずです。意見が違うから、違った視点から考えることができるわけです。
M&Aなどで異文化同士の組織が一緒に仕事をしなければならない環境に
置かれたとき、特に、このことを忘れないようにしたいものです。

 ダイアローグ(意見交換)というコミュニケーション方法は、意思決定の
精度が上がることで知られており、最近、よく使われるようになりました。
なぜ、意思決定の精度が上がるかと申しますと、「少数意見は考え方の幅を
広げてくれる貴重な存在だ」という不同性を大切にしたコミュニケーション方法
だからです。

 「不同性」の法則を理解し合うなら、争いごとなどは起こらないはずです。
「一体性」と「不同性」の法則を理解することで、職場の協働する人間関係形成
の第一歩に、引いては世界平和実現の第一歩になることでしょう。

(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
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次回は、『心の指針(3) −相対性−』です。
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