バックナンバーINDEXへ戻る
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.239 2007/10/08 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
http://www.sk-k.co.jp
http://www.sogokyouiku.com/ (ブログ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメールマガジンは、名刺交換をさせて頂いた方、ホームページより
ご登録を頂いた方などのご縁を頂いた皆様に配信させて頂きます。皆様
のお仕事においてこの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

============================================================
組織を変えるリーダーシップ(1) −大志(アンビション)−
============================================================
 10年近く経営品質向上活動を支援してきて、組織と個人の成熟度が
高くなるか、どうかを決める決定的要因は、「経営幹部のリーダーシップ」
にあることを改めて感じています。今回はシリーズとして、リーダーシップ
を取り上げることにいたします。

 第一回目は、リーダーシップを発揮する条件である「大志(アンビション)」
を取り上げます。

 まず最初に考えたいことは、リーダーシップの概念です。

 ハーバード・ビジネススクールのコッター教授は、変革期に求められる
リーダーシップを『まず、第一に変革がもたらす結果に対し、社員に
期待感を持たせ、変化する状況に社員をリードしていくパワーである。』
と言っています。表現を変えるなら「明確なビジョンと具体的な経営戦略
を策定し、その戦略の展開に向けてメンバーの動機付けをし、メンバーの
心を一つにして、ビジョン実現に向けて組織集団を導く能力」と言うことが
できるでしょう。
 
 そして、忘れてはならない大切な視点として、コッター教授は、成功する
変革には、「70〜90%のリーダーシップ」が中心であり、「10〜30%の
マネジメント」が仕組みとして必要だと説いています。

 経営品質活動の初期の頃の審査は、「仕組みづくり」のマネジメントを
高く必要した時期がありましたが、組織を変革していくためには、「組織
としての理想的な姿」を共有できるリーダーシップが不可欠だということが、
強調されるようになりました。

 しかし、気を付けなければならないことは、スタンフォード大学のコリンズ
教授が提起しているように「時を告げる天才ではなく、時を告げる時計という
メカニズムを考える天才」が生まれる組織を創造できるリーダーシップで
なければならないと言うことです。何故なら、一人で時を告げていた天才が
去った後には、彼の代わりになる人がいないことになります。

◆変革期に求められるリーダーシップの役割

1.将来の方向性(ビジョン)・変えてはならない価値観を決める
 達成するのに必要な変化を生み出すための戦略を作り上げる。

2.ビジョン・変えてはならない価値観を共有する
 協力が必要となるあらゆる人々と、言葉と行動を持って価値観と方向性を
 共有する。ビジョンと戦略をもって変革チームに影響を与える。

3.社員を動機づけし勇気づける
 自由闊達で透明性の高い組織風土・企業文化を形成できるよう、率先して
 行動し、社員を応援する。そのためには社員の声を聞き、仕事にやりがいが
 持てる、働きやすい環境をつくる。

4. 自主的に判断し、行動する権限を与える
 ビジョン・変えてはならない価値観に基づき、メンバーが自主的に判断し、
 行動できるエンパワーされた職場をつくる。

5.喜んで協働し合うチームワークを形成する
 お互いに認め合い、尊敬し合い、補完し合い、協力し合い、本音でフィード
 バックし合える組織づくりに率先して、行動する。

 変革期に求められるリーダーシップを発揮できるリーダーこそ、「大志
 (アンビション)」を抱くリーダーです。

 経営幹部、一人ひとりにとっての大志(アンビション)とは、「自らの
哲学・理想・理念を追求し、社会に無くてはならない企業活動を通して、
お客様に、社員に、株主に、ビジネスパートナーに、地域社会に喜ばれる
こんな仕事がしたい、だからこんな会社にしたい」という熱い思い、意図です。
心から、そんな大志(アンビション)を持つリーダーであってほしいと願わ
ざるを得ません。その大志(アンビション)の有無こそが、リーダーとしての
証です。いくら、経営ビジョン・経営理念・価値観を共有しようと、毎朝、
唱和しようが、説明書を作ろうが、経営幹部に熱い大志がなかったら、
無意味なのです。

 全社員が短期的な課題に目を奪われた活動に終始するのではなく、長期的
な視野にたったビジョナリー・カンパニーであるためには、大志を持つ
アンビシャスな企業こそが21世紀を代表する経営品質の高い組織を実現して
いけることを確信しています。

 ご存知の方も多いと思いますが、米国商務省のマルコム・ボルドリッジ賞
を世界で初めて2度受賞した唯一のホテル企業として、ザ・リッツ・カールトン
ホテルカンパニーがあります。このホテルの価値観と理念を結集されたゴールド
スタンダードの中に「従業員への約束」という従業員をとても大切にしている
表現があります。その後段に『・・・多様性を尊重し、充実した生活を深め、
個人の志を実現し、リッツ・カールトン・ミスティークを高める…リッツ・
カールトンは、このような職場環境を育みます。』と、「個人の志」の実現
を謳っています。

 経営幹部たる者、まず、自らが手本となり、一人の人間として、大志
(アンビション)を抱き、高い経営理念の実現に残りの生涯を掛けたいものです。

(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
----------------------------------------------------------------
次回は、『組織を変えるリーダーシップ(2)
         −チームを形成するコミュニケーション−』です。
----------------------------------------------------------------
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆週刊☆ 経営いろは帖 << 株式会社総合教育研究所 代表:石橋正利 >>
----------------------------------------------------------------------
■ご意見・ご感想は → ishi@sk-k.co.jp
■バックナンバーは → http://www.sk-k.co.jp/iroha/back_number.html
■メール登録解除は → http://www.sk-k.co.jp/iroha/index.html
----------------------------------------------------------------------
※当メールマガジンに掲載された記事を、許可なく転載することを禁じます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
バックナンバーINDEXへ戻る