バックナンバーINDEXへ戻る
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.255 2008/01/28 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
http://www.sk-k.co.jp
http://www.sogokyouiku.com/ (ブログ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメールマガジンは、名刺交換をさせて頂いた方、ホームページより
ご登録を頂いた方などのご縁を頂いた皆様に配信させて頂きます。皆様
のお仕事においてこの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

============================================================
組織を革新するリーダーの条件(1) −変革者であること−
[アセッサージャーナル第12号『寄稿』]
============================================================
 今号から、1月20日に発行されたアセッサージャーナル第12号に『寄稿』
させていただいた文章を4回に分けて載せることにいたします。

 以前、採り上げた「リーダーの指針シリーズ」に一部加筆、修正したもの
です。重なる部分もありますが、お読みいただければ幸いです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 10年近く経営品質向上活動を支援してきて、「組織と個人の成熟度」が
高くなるか、どうかを決定付ける要因は、組織の「リーダー」次第である
ことを改めて強く感じます。今回、自戒を込めて作成した「組織を革新する
リーダーの条件」をご紹介できる機会をいただきました。経営革新に取り組む
リーダーの心得として、何かみなさまのヒントになればうれしい限りです。
 
(1) 変革者であること

 まず、最初の条件です。
------------------------------------------------------------------
 時代の変化に流されるのではなく、自らの意志で自分から変化を創り
出そうとする人こそ、変革者です。リーダーとは、成功するために必要な
失敗から、数多くの教訓を学んだ変革者のことです。
------------------------------------------------------------------

●変化を創り出そうとする人

 私たちの世界は、万物流転の法則に支配されているようです。望む、望ま
ないとに関わらず、私たちを取り巻く周囲の環境は変化し続けています。
出来るならば、環境変化に順応するだけのリーダーではなく、新しい変化を
生み出すリーダーを目指したいものです。では、どうすれば、自ら変化を
生み出そうとするリーダー(変革者)になれるでしょうか。

 私が事例企業として、よく研修で取り上げているケースに、CNNが
“アメリカで一番わくわくする会社”と認めたシアトルにある「パイク
プレイス魚市場」があります。そこの経営者ヨコヤマさんの生き方を参考に
考えて見ましょう。

 ヨコヤマさんは、「父親の厳しいやり方しか知らなかったこと」そして、
「それまでの自分自身が辛い思いをしてきた」ことで、以前は、周囲の
従業員に怒りをぶちまけるリーダーだったそうです。しかし、ある時、
「怒りをぶちまけるという自己防衛的な態度をとる代わりに、人を愛し
たり抱擁することの素晴らしさに」気づいたことが経営者としての転機と
なります。人生の課題と正面から向き合うことから始めないで、経営革新の
リーダーにはなれないことが分かります。

《社員や部下やプロジェクトメンバーを変えたければ、まず自分が変わる》
という大原則から、リーダーは逃げることが出来ません。その覚悟やいかに!

 もう一つ、ヨコヤマさんが取り組んだことが、

 社員を巻き込んで、《皆が共感、共鳴できる組織のビジョンをつくる》
ことでした。社員とじっくり話し合い「社員同士が楽しく働ける環境を
つくり、お客様に満足してもらおう」、「最高のサービスと魚を提供して、
世界的に有名な魚市場になろう」「世界中の人々に影響を与える会社に
なろう」と決めました。そんな中で、「訪れたお客様に何か思い出に残る
体験をしてもらおう」という思いから飛び出したアイデアが「魚を飛ばす」
というものだったんですね。世界中からテレビや雑誌の取材が続き、本当に
世界一有名な魚市場になっちゃいました。だから、「今後も、我々は変化し
続ける」と宣言しています。

 ついでに「ビジョンを共有するための3つの秘訣」を教えてもらいましょう。

1) ビジョンに参加する(自らの意思でビジョンに参加するかを決める)
2) 態度で示す(日々ビジョンを思い浮かべながら、ビジョンを実践する)
3) コーチし合う(肩書きに関係なく、ビジョンを共有する仲間として
  コーチし合う)

 特に、この「コーチし合う」モデル組織として注目されている組織が、
指揮者のいないオーケストラで有名な「オルフェイス管弦楽団」です。
驚くべきは、よりよい演奏のための自由闊達な意見交換や、遠慮のない同僚
やコンサートマスターの演奏スタイルに対する改善を指摘する姿です。

 経営品質活動が越えなければ自由闊達な組織風土を実現している数少ない
組織として、ご紹介しておきます。
 
●失敗から学ぶ人

 さらに、失敗からたくさんの教訓を学ぼうという姿勢は、経営革新を
進めるリーダーにとって、とても大切な姿勢です。なぜなら、その姿勢が
なくては、推進するリーダー自身が、率先して自己の成長課題に気づき、
自己革新に取り組めないからです。

 リーダーは、自信を失ったり、後悔して落ち込んだり、逆に、「やって
いるよ」と自己弁護している暇はありません。もちろん、部下や子供たちの
失敗を上司として、親として責めることがリーダーの役割ではありません。
失敗は、成功への道標なのですから。むしろ失敗したことを喜びたいもの
ですね。

 ホンダの創業者の本田宗一郎さんは、研究所で失敗した人たちの中から
次につながる失敗をした社員を選んで「失敗賞」なるものを真面目に策定
したそうです。こういう環境だったから、研究所の人たちは失敗を恐れる
ことなく、最先端の新しい技術開発にチャレンジできたのでしょう。トップ
として、ホンダの企業文化の一つである「やらまいか精神(チャレンジ精神)」
の奨励策を実践して見せたわけです。

 リーダーとして、きちんと挑戦する人を評価して、応援してあげましょう。
人事評価の順位は以下の考え方をお勧めします。

1) 新しいことに挑戦して、かつ、その事から成果を出した人
2) 新しいことに挑戦したが、残念、その事から成果を出せなかった人
3) 新しいことは何もせず、今まで通りのことをやっただけの人

(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
----------------------------------------------------------------
次回は、『組織を革新するリーダーの条件(2) −夢と希望−』です。
----------------------------------------------------------------

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆週刊☆ 経営いろは帖 << 株式会社総合教育研究所 代表:石橋正利 >>
----------------------------------------------------------------------
■ご意見・ご感想は → ishi@sk-k.co.jp
■バックナンバーは → http://www.sk-k.co.jp/iroha/back_number.html
■メール登録解除は → http://www.sk-k.co.jp/iroha/index.html
----------------------------------------------------------------------
※当メールマガジンに掲載された記事を、許可なく転載することを禁じます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
バックナンバーINDEXへ戻る