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☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.259 2008/02/25 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
http://www.sk-k.co.jp
http://www.sogokyouiku.com/ (ブログ)
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このメールマガジンは、名刺交換をさせて頂いた方、ホームページより
ご登録を頂いた方などのご縁を頂いた皆様に配信させて頂きます。皆様
のお仕事においてこの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

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新入社員の成長と上司の関係性とは
      −2007年度新入社員入社 10ヶ月後意識調査より−
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 「新入社員の心境と取り巻く環境を調査(アルー株式会社)」した
内容がプレス発表されましたので、ご紹介します。2007年3月に四年制
大学を卒業して4月より企業へ就職した入社10ヶ月の社会人を対象に
したものです。 私なりに感じたことをコメントしておきます。

◆2007年4月に入社してから今まで仕事を通じて成長したと思いますか?
 →「成長したと思う/やや成長したと思う」(62.6%)

 半数を超えるメンバーは成長を実感していますが、4割近くのメンバー
は実感していません。目標の与え方があいまいか、高すぎるか、成長を
認めるコミュニケーションが不足していると思われます。メンバーの成熟度
に合わせた「動機付けるリーダーシップ力」の養成が、指導者に求められます。

◆来春、後輩社員が入社してくるにあたって先輩社員として手本に
 なる自信はありますか?
 →「不安だ/やや不安だ」(33.2%)

 残念ながら、自信がもてないメンバーが3割を超えています。自信が
もてない事情を指導者は掴んで、コーチングする必要があります。その
前提として、信頼関係はありますか?

◆この一年間で何をもっとしておけばよかったと思いますか。上位3つ
 までお答えください。
 →「業界に関する勉強」(51.3%)

 新入社員の最初の仕事は、補助的な業務がほとんどでしょう。それだけを
教えたのでは、もっともっと仕事を早く覚えてお客様に貢献したいという
動機は生まれにくいでしょう。業界つまり、お客様のニーズや、そのニーズ
に対してどんな価値を提供しようとしているのか、自社を取り囲む競争
相手の強み等の情報を提供することが必要です。もちろん、自社が世の中に
存在する意義(ミッション)に共感してもらっていることは必須です。

◆今の自分を振り返り、入社時の研修などで学んでおきたかったのは何ですか?
 上位3つまでお答えください。
 →「ビジネスマナーについて」(37.7%)
 →「仕事の段取りについて」(36.1%)

 ビジネスマナーは、人間関係を育む基本であることを組織の中で気付いて
いったことでしょう。人間関係は挨拶に始まり、挨拶で終わるのですから。

 森信三先生は、躾三原則(挨拶・返事・後始末)について、対談で次の
ように語られています。

 「朝、必ず親に挨拶をする子にすること。親に呼ばれたら必ず、“ハイ”
とハッキリ返事のできる子にすること。ハキモノを脱いだら、必ずそろえ、
席を立ったら必ずイスを入れる子にすること。
 じゃ、このしつけのコツはというと、まず、母親自身が、ご主人に対して
朝の挨拶をハッキリするようにし、また、ご主人から呼ばれたら必ず「ハイ」
とはっきりした返事をするように努力することです。」

 指導者自らが手本を示す大切さを説いておられます。心したいものです。

◆上司のアドバイス・指導の頻度や方法は、自分の成長に役立っていると
 思いますか?
 →「そう思う/ややそう思う」(50.6%)

 半数のメンバーは評価してくれていますが、半数は「役に立っていない」
という辛い評価です。メンバーから学ぶ姿勢が不可欠です。指導者の成長は、
指導を受ける側の声を聴けるかどうかに掛っています。

◆上司のアドバイス・指導の頻度や方法を改善してもらうとしたら、どの
 ように改善して欲しいですか?
 →「アドバイス・指導の量を増やして欲しい」(45.2%)
 →「具体的な改善方法を提示して欲しい」(45.2%)

 成熟度の低い新入社員が求めることは、しっかり教えてほしいということ
です。そのためには、教える側に準備が必要です。仕事の手順を業務分析
して、整理するだけの準備が必要です。そして、まず、自らやってみせる、
そして、やらせてみる、出来るようになるまで、やらせてみる。そして、
最後に「できるようになったね」と褒めてやる、認めてやることです。

◆上司から、自分の成長につながるようなテーマについて、十分なアドバイス
 ・指導を受けていると思いますか?
 →「そう思う/ややそう思う」(44.2%)

 指導を受ける側が「お客様」です。お客様のニーズに応えられる指導能力
を磨き続けましょう。

◆上司からは、何に関するアドバイス・指導がもっと必要ですか。必要と思う
 ものをすべてお選びください。
 →「専門的な知識/スキルの向上に関して」(59.7%)

 キャリアパスの最初のステップは、スペシャリストを目指すことです。
スペシャリストになるために必要な「専門的な知識/スキル」を磨ける環境
を提供することは指導者の責任です。
 
◆最初の配属先でのOJTの際、あなたの失敗に対しての上司の対応はどうでしたか?
 →「失敗も経験のひとつだと思って、すぐに次のチャンスを与えてくれた」
  (38.1%)

 失敗を叱るだけの指導者を放置してはなりません。委縮するだけです。失敗
から学ばせる指導者を養成すべきです。私たちが成長できるのは、失敗した
から学べるのです。

◆あなたは、今の上司に対して、早く成長して貢献したいと思いますか?
 →「そう思う/ややそう思う」 (43.9%)

 もの足りない数値です。指導者のメンバーに対する愛情と期待感の薄さを
感じます。真剣に自分の成長をサポートしてあげたいと思ってくれる指導者
には、その期待に応えたいという気持ちがわくのが私たち人間です。

 教育の原点は、愛情だということを再確認させられる数値です。

(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
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次回は、『活きるヒント(5) −人生の転機−』です。
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