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☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.265 2008/04/07 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
http://www.sk-k.co.jp
http://www.sogokyouiku.com/ (ブログ)
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このメールマガジンは、名刺交換をさせて頂いた方、ホームページより
ご登録を頂いた方などのご縁を頂いた皆様に配信させて頂きます。皆様
のお仕事においてこの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

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採用適性分析から見えてくる人財像(4)
          −どういうことに意欲・ヤル気を出すか−
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 職場の士気の高揚、課題達成に向けての原動力や生産性の面に加えて、
自己実現に向けてのエネルギーに相当する「欲求の側面」を測定してみま
しょう。

 欲求を10の項目に分類し、「ヤル気を出すのはどのような時か」など、
欲求水準を明確にすることによって、個人の成長動機や欲求不満への耐性
を把握することができます。上司や会社がその人の欲求を満たすことが
できれば,仕事に対してより強く動機づけることができます。

 では、“行動を促す”欲求の種類を順に見ていきましょう。

●達成欲求
 この欲求が高い人は、新しいことや難しい事へ挑戦したいという傾向が
強く、そのための努力は惜しまないと言った傾向があります。ねばり強く
やり抜く姿勢があり、一か八かの掛けよりも、確実に成功する方法を選択
しようとします。従って、人間関係も、親しさよりも、実力重視といった
ところが見受けられます。

 逆に、この欲求が低い人は、苦労して目標を達成するよりも安定した
環境を好みます。ただ、低いままでは、いい仕事はできません。メンバーが
“挑戦したい”という動機をもてる手助けがリーダーの役割となります。

●親和欲求
 この欲求が高い人は、交際範囲は広く、誰とでも仲良くなれるといった
傾向を持っています。達成欲求とは逆の要素が強く、人間関係は実力より
もその人との関わりの深さを重視します。従って、人に何かを与えると
いったことも、積極的にできるタイプです。仲間と競い合うよりも穏やか
な環境の中にいることを好みます。

 逆に、この欲求が低い人は、世の中は実力と努力が大切で、友は能力の
ある人を選びます。欲求が低い人を切り捨てないように注意が必要です。

 親和欲求が高いことは、とても良いことですが、本音で互いの成長課題
をフィードバックし合い、切磋琢磨し合える関係がなくては、単に“仲良し
クラブ”になってしまうことに気をつけなければなりません。
 
●求知欲求
 ルールに縛られたり、手順道理に行うといったことが苦手であり、常に、
新しいことに取り組もうとしたり、新たな情報を得ようとします。しかし
その事があまり高じると、気分屋な行動を取ったり、ものを大切に扱うこと
ができなかったり、人付き合いに於いても淡泊になったりする場合があります。
知的好奇心が旺盛で、新しい事や違う手順・情報を追い求めることを好みます。

 逆に、この欲求が低い人は、周りの環境の変化は好まず、ルールや既存の
ものを尊重します。

 求知欲求は、私たち自身の人間的にも、能力的にも成長するには欠かすこと
ができません。達成欲求が高くなれば、求知欲求は自ずと高くなります。
ミシュランの三つ星を獲得した「すきや橋次郎」の小野次郎さんは82歳の
今でも、美味しいお寿司にこだわり続けて工夫の日々を送っておられるんですね。
求知欲求の高さを感じるお一人です。
 
●顕示欲求
 自分の意見や、行動結果が注目されることに喜びを感じたり、常に人にほめ
られることをしたいと願っています。その為か、型どおりのやり方を好まず、
人と違ったやり方を考えたり、実行したりします。自分が輪の中心となり人を
楽しませたりすることを好みます。

 逆に、この欲求が低い人は、輪の中心となるよりもあまり目立たず静かに
していたいのです。独りよがりではなく、相手に喜んでもらえることを忘れ
ないようにして、顕示欲求エネルギーを使えたら素晴らしいですね。

●秩序欲求
 規則に従順で、外れた行動はとれません。そのルールの中では、じっくり
物事に取り組むことができ、長続きします。きれい好きで、ものの手入れも
行き届いており、長持ちさせることができるタイプです.

 逆に、この欲求が低い人は、多様な価値観や人間関係/状態を受け入れる
ことができる人です。
 
●物質的欲望
 動くことの対価としてお金を得、それを増やしたりすることに対して、非常に
興味があります。また、自分の好みのものであれば、惜しみなく使うことも
できます。気に入ったものであれば長く大切にするし、逆に失ったときの
ダメージも大きいでしょう。モノやお金を獲得し、失いたくないなど物欲が
強いと言えます。

 逆に、この欲求が低い人は、モノやお金などに未練を持たず、あっさりして
います。モノやお金を獲得を目的にしてしまわない限り、物質的欲望が高いこと
を恥ずかしがることはありません。
 
●危機耐性
 物事を明るく受け止め、悲観的になることが少なく、状況が多少悪くても、
自己崩壊することなく、あまり気にせずに対応することができます。冒険心も
あり、ねばり強く物事を行えるタイプです。逆境に耐え、苦しいときも我慢
強くやり抜こうとします。

 逆に、この欲求が低い人は、逆境になると悲観的になり、自己崩落する
可能性があります。「プラス思考」へ考え方を変えるだけで、危機耐性は
高くなります。
 
●自律欲求
 あれこれ人に指図されたり、自分の意志では行動できないといった制約に、
強い拒絶感を示すタイプです。鶏口牛尾的な精神の持ち主で、自分の意志で行動
できるといった環境に於いては、周りを気にせず、実力を発揮することができます。

 逆に、この欲求が低い人は、自分らしい生き方を追求するより人のカを頼る
ことを好みます。「人生ビジョン」を持ちましょう。自分の人生を自らの力で
切り開く喜びが味わえます。
 
●支配欲求
 多少、言いにくいことでも、必要であれば苦言を呈することができ、また上から
下を押さえつけるといったやり方はせず、全体をまとめ、良い方向へ導こうとする
傾向があります。必要であれば苦言も言え、全体をまとめ良い方向へ導こうとします。

 逆に、この欲求が低い人は、人をまとめ自分が先頭に立つような事には消極的です。
自分のために、人をコントロールするのではなく、相手のために行動することで、
周囲に貢献できるエネルギーです。

●勤労意欲
 活動的で、人から言われなくても率先して行動します。集団の中では周囲への
気配りもでき、一人でじっとしているよりも、体を動かし、何かに取り組んでいる
方が多いといった傾向があります。

 逆に、この欲求が低い人は、言われる迄行動せず、一人でじっとしている可能性
があります。仕事に使命感(ミッション)を感じている人は、この欲求が高い人と
言うことが出来るでしょう。

 自分の意欲の特徴を知ることで、「どの欲求が高い人間になりたいのか」という、
なりたい自分の成長イメージが欲しいところです。

 行動を誘発する要因は「意欲・やる気」といったエネルギーです。このエネルギー
が湧き上がっている人と、内なる井戸から湧き上がってこない人とでは、仕事の
成果に極端な差が出てきます。

 組織のリーダーの管理職にとっても、家庭のリーダーの父・母にとっても、
メンバーや子供のやる気・意欲を引き出す力が求められています。

(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
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次回は、『ニュービジネス協議会の役割 −ベンチャーの世界−』です。
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