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☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.269 2008/05/05 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
http://www.sk-k.co.jp
http://www.sogokyouiku.com/ (ブログ)
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のお仕事においてこの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

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経営革新に成功するための組織づくり(2) −協働し合う関係づくり−
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 「協働し合う関係」とは、どのような関係を言うのでしょうか。ヒントは、
サウスウエスト航空の創業者ハーブ・ケレハーの「恐れではなく、愛によって
結束するとき、会社は強くなると私たちは思っています。」という言葉です。

 恐れとは何でしょう。QCサークルの生みの親であるデミング博士の
教えの中にも、「全員が会社のために効果的に働けるように、恐怖心を
取り除くこと」という表現が出てきます。
(出典:ジョイ・オブ・ワーク/吉田耕作/日経BP)

 「リーダーシップとは人々や機械や装置がよりよい仕事をするのを助ける
ことである。」「目標による経営をやめること。数字や数値目標による管理を
やめること。リーダーシップで置きかえること。」という表現から見えてくる
ことは、管理することがリーダーシップという勘違いが、社員に恐れを生じる
可能性があることを戒めているのではないでしょうか。

 デミング博士の説くリーダーシップの考え方は、サウスウエスト航空では、
すでにハーブ・ケレハー個人のカリスマ性の枠を離れ、組織のメンバー一人
ひとりの心に根付いているようです。

 サウスウエスト航空のハートのマークに象徴されるような、どうしたら会社は
人を愛せるか、どうしたら人は会社を愛せるか、どうしたら毎日喜んで職場に
通えるかをいつも考えている会社なんて、世界七不思議の一つかも知れません。

 社員は、一緒に働いているのは、他人ではなく、親しい友達という意識なん
ですね。「いつも、お互いが仲間意識で結ばれているんだ」「ただ、自分が
やってもらいたい事をしてあげているだけです」とサラリと語る彼らに、心が
通い合う関係を感じます。これが日本の職場の話ではなく、アメリカの職場の
話だなんて、信じられないと思いませんか。

 このハーブ・ケレハーの言葉を行動指針にあらわしたものが、以下の4つの
指針です。

1)お互いに心から尊敬しあう⇒人間としての誇り、仲間であることの誇りを
  認め合う関係

2)他の人を助けに行こう⇒仲間としての貢献意欲

3)その人の態度を見て雇い、技術は後で習得させる⇒人間性・価値感に
  基づいた採用基準

4)自分らしくいられる自由⇒管理される存在からエンパワーメントへ
 
 さて、「協働し合う関係」作りの上で、最大の壁は、仲間意識と正反対の
互いに無関心であることです。従って、メンバーが喜んで協力して働きたく
なるチームになるためには、メンバー間の「相互理解」が不可欠となります。
「相互理解」が生まれることで、お互いの関心が高まり、貢献意欲が生まれ、
助け合う関係が形成されることになります。自然に!です。この状態が
「協働し合う関係」です。絆が生まれると言いかえることもできます。
「協働しろ」と上司が命令・管理するのではなく、メンバー同士が「協働したい」
からそのように行動する職場にして行きましょう。

 その結果として、私たちは、どうも、貢献し合うことができ、自分たちが
価値ある存在であることが自覚でき、他のチームのメンバーからもそう思って
もらえていることを実感できるようになるようです。このことが、自己成長を
促し、メンバー相互に学びあう関係、学習する組織をも生み出すことになるん
でしょう、素晴らしいですね。

 ここで、協働し合う関係を形成する基本姿勢を整理してみましょう。

1)目標達成に向けてメンバー各自の使命、役割をはっきりさせる。

2)メンバーが自由闊達に意見が述べ合えるように、どんな意見も傾聴する
  姿勢をもち、リーダー自ら、失敗体験や弱みも自己開示する。

3)メンバーのモチベーションを高めるために、本人の納得の得られる
  “合意の形成”に至るコミュニケーションを働きかける。

4)メンバーの持っている固有のノウハウを共有化できるチームを育てる。

5)日頃からメンバーに関心をもち、言動に注意し、タイムリーな声かけで
  メンバーとの信頼関係を築く。

6)リーダーが当事者の一人として、メンバーの失敗から学ぶプラス志向で
  目標達成のための支援をする。

 具体的な取り組み方法を紹介すると、「オフサイト・ミーティング」と
「ストロークのプレゼント」があります。

 オフサイト・ミーティングとは肩書きや部署の立場を離れて、気楽に
まじめな話をし合う場です。互いの人間性や背景を理解することで、信頼
関係が深まります。

《オフサイト・ミーティングのルール》

 (1) 肩書きで呼ばずに「〜さん」と呼ぶ
 (2) 語る人は、その場面が聴いている人に伝わるように、映像的に語る
 (3) 聴いている人は、語っている相手の話を批判しない
 (4) 聴いている人は、より相手を知る、理解するために質問をする
 (5) 仕事の話はしない。人間性が分かり合えるテーマにする

 さらには、“自己重要感”を高めるストロークをお互いにプレゼントし合い
ましょう。

《スキンシップとハートシップ肯定的ストローク》

 (1) 朝礼、会議やミーティングを始める前に、握手をし合う。
 (2) 長所を他のメンバーからプレゼントし合う。
 (3) 一緒に仕事ができてうれしい理由を感謝を込めてプレゼントし合う。


●主に身体を通して伝えるスキンシップ

【肯定的ストローク】⇒さする・おぶう・握手・肩にふれる・抱擁・キッス
           ・マッサージ

【否定的ストローク】⇒お尻を叩く・げんこつ


●主に音声を通して伝えるハートシップ

【肯定的ストローク】⇒感謝する・挨拶する・うなずく・微笑む・ほめる
           ・理解する・傾聴する・励ます

【否定的ストローク】⇒叱る・注意する・許可しない


(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
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次回は『ありがとうございますが意味する言霊 −大和言葉−』です。
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