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☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.279 2008/07/14 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
http://www.sk-k.co.jp
http://www.sogokyouiku.com/ (ブログ)
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このメールマガジンは、名刺交換をさせて頂いた方、ホームページより
ご登録を頂いた方などのご縁を頂いた皆様に配信させて頂きます。皆様
のお仕事においてこの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

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父親の役割とは何か −37歳で体験したショック−
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 本箱を整理していたら、懐かしい本が見つかりました。読売新聞社の
記者がビジネスマンのお父さんを取材して書いた「おやじ」という本です。

 当時、37歳だった私も、取材を受け『研修でショック受け、変身。子ども
と真剣にかかわる』という表現で当時の私のダメ父親ぶりを書いてもらい
ました。一部をご紹介して、まだ子育て真っ最中の皆様には、楽しんで
いただき、もう子育てが終わった皆様には、懐かしいノスタルジアを感じて
いただければ幸いです。

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 朝、出勤時に繰り返されるあいさつが、実にふるっている。玄関に出て
見送る毎、三人の家族を両腕で抱き、握手を欠かさない。五歳と三歳の二人
の男の子だけならまだしも、妻も含めてなのだ。だれか居合わせたとすれば、
きっとそちらのほうがドギマギしてしまうにちがいない。東京・杉並区の
会社員、石橋正利さん(三七)が、自分自身でも大いに照れながら、スキンシップ
を兼ねたこのあいさつを始めることにしたのは、六十年の夏だ。社員教育に
とり入れれば大きな刺激になるのではないかと、下見のつもりで参加した
三泊四日のある研修で、大きなショックを受けたのがきっかけである。

 どんなショックだったのだろう。自分ではだれに対しても理想的なコミュニケーション
を実践していると自負心すらあったのに、実際のところは、相手の気持ちを
理解せず、自分の意見を一方的に押しつけていたことを痛感させられたのである。
部下や家族たちに済まないことをしてきたと、つくづく反省させられた。

 石橋さんが受けた研修は、アメリカでは長年の実績のあるプログラム、
「STEP」(ステップ)である。「効果的に子どもにヤル気を起こさせる親に
なるための系統的な訓練」という意味の英語の頭文字を取った名前だ。
アルフレッド・アドラーが創始した「アドラー心理学」に基づいたもので、
子どもたちを自分の言動に対して十分な責任をとることができる自立した
存在として認め、親子間のすべての問題は理性と常識によって根本的に解決が
できるという考え方に立っている。もともと、親を対象にしたものだから、
働きバチの石橋さんの目を家庭にも向けさせるようになったのは、当然といえば
当然かもしれない。

 研修では、十数人で一グループとなり、お互いの討論をもとにしてSTEPの
考え方を学んでいく。その内容は、

(1)子どもがなぜ好ましくない言動をしたのか、表面だけにとらわれず子ども
の目的を理解する。(2)子どもに自信を持たせて、ヤル気を起こさせる
「勇気づけ」など九段階に分けられている。

 学習が進んでいくにつれ、だれしもそれまでの自分のやり方に大いに反省を
迫られるようだ。子どもとかかわる努力を続ける石橋さん。「私の場合は、
まず子どもと真剣にかかわることが先決でした」。営業の第一線が長くて仕事に
追われ、あまり相手をしてやらなかったためだろう、長男は父親を敬遠する
そぶりを見せていた。おふろに入ろうと言っても、母親と入りたがるし、心を
だんだん開かなくなっているような気がしていた。

 研修を終えて帰宅してからというもの、子どもたちと少しでも多く遊ぶように
心がけている。毎朝、寝床に入ったままで十分間ほど、即席のおとぎ話を作って
聞かせる。日曜日は子ども最優先だ。サッカーやすもうの相手が終われば紙芝居と、
気長に遊んでやる。「お父さんは怒るばっかりだからきらい」といつも言っていた
長男が、このごろは父親とたっぷり遊べる日曜日を待ちわびるようになった。

 石橋さんにとって、それが何よりもうれしい。「いくら忙しくても、子どもの
相手をする時間は、作る気になりさえすれば作れるものですね。以前のままでは、
子どもたちが大きくなって、いざおやじの出番だといっても、子どもが耳を傾けて
くれたかどうか」

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 この研修がキッカケで、私と子供たちとの関係は変わり、私の名刺に載せている
「自分が変われば、相手が変わり、人生が変わる」という理念につながっています。

(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
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次回は、『チームはたった一人のリーダーで変わる
          −「ザ・リーダートップ」から学ぶ−』です。
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