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☆週刊☆ 経営いろは帖 Vol.299 2008/12/01 毎週月曜日発行

執筆・発行/株式会社総合教育研究所 石橋正利
http://www.sk-k.co.jp
http://www.sogokyouiku.com/ (ブログ)
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このメールマガジンは、名刺交換をさせて頂いた方、ホームページより
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のお仕事においてこの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

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経営革新に成功するための組織づくりPart2(1)
               −ビジョナリーカンパニー2−
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 今号では、以前シリーズでお送りした「経営革新に成功するための組織
づくり」の続きをPart2としてお届けします。「ビジョナリーカンパニー2」
で語られる“適切な人”とはどんな人か、がテーマです。

 経営品質向上活動に不可欠な“成熟度の高い個人とチーム”とは、どんな
チームなのか? いや、むしろリーダーとして、どんなチームをつくりたい
のか? そして、そんなチームを形成するためには、どのようなリーダーシップ
が求められるのか、前号に続いて、そのための考え方や方法を、私の体験や
事例を交えて考察してまいりましょう。

 では、そのための残りの3つの要件を提示いたします。

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≪成熟度の高いチーム(組織)をつくる要件≫
(1) 「ビジョンの共有」を図ろう
(2) 「ビジョンの実践」に取り組もう
(3) 「改善の仕組み」を動かそう
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(1)「ビジョンの共有」を図ろう

 今日、組織というチームでは、一人ひとりのメンバーが、チームの“組織ビジョン”
や使命感を共有していることが求められます。しかし、どうも単にスローガン
を掲げるだけでは、“組織ビジョン”を共有することはできません。毎朝、
唱和すれば、暗記はできるでしょうが、共感・共鳴して“組織ビジョン”実現に
向けて情熱を傾けることにはなりません。

 その証拠に、数年前に野村総合研究所が実施した「仕事に対するモチベーションに
関する調査」(上場企業の20〜30代の正社員を対象)によれば、「現在の仕事に
無気力感を感じたことがあるか」の問いに対して、“ある”と答えている割合は、
75%もありました。モチベーションが低いことが分かります。その理由の一つが、
次の質問への答えにあるように思います。「現在の仕事を通じて、社会的使命感を
感じるか」の問いに対して、“ある”と答えている割合は、わずか30%弱しか
いませんし、「現在勤めている会社の経営理念やミッションに関心がありますか」
に対する答えも、“ある”と答えている割合は、わずか29%しかなかったのです。

 実際に私が体験したケースでも、研修を実施した会社の壁に飾ってある“組織
ビジョン”について、中途採用の部長でしたが、質問してみたところ、読んだこと
もなく、全く関心さえありませんでした。

 管理職研修の中で経営品質のカテゴリー1.1「経営幹部のリーダーシップ」で
第一に取り上げられているように、ベクトルが合い、推進力を生み出す上で、
「組織が大切にしている価値の共有」のためのコミュニケーションは、チーム形成上、
欠かすことができない条件ということができます。何としても成功させなければ
ならない取り組みです。

 ただ、その前に、考えておかなければならないテーマがありそうです。
そのテーマは、「誰とチームを組みたいか?」です。

■飛躍の法則

 皆様もご存じの「ビジョナリーカンパニー2」の中で、著者のコリンズさんは、
“良い企業”から“偉大な企業(株式平均運用成績が市場平均の6.9倍)”へ
飛躍出来た企業と、出来なかった企業群を比較して、なぜ「飛躍出来たのか」を
膨大な調査の結果から、時代を超えた“飛躍の法則”として発表しています。
この法則は、経営品質向上プログラムにおいて、「組織が目指す理想的な姿」を
考える前提となる「誰とチームを組みたいか?」の問いに、多くの示唆を与えて
くれます。私が目指しているチームの姿を表現しておきましょう。

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≪職場は人間として成長するためのステージ≫
愛によって結束するとき、真の信頼関係が生まれます。
愛によって結束するとき、私たちは夢の実現を誓い合い、
本音で話し合い、成果を一緒に喜び合える仲間として
出逢うことができます。一緒に仕事をしていること、
それ自体が感動となり、喜びになのます。
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■組織が目指す理想的な姿と組織ビジョン

 経営品質向上プログラムでは、顧客価値・社員価値・財務価値を生み出し
続けることができる“卓越した経営”の前提となっている「組織が目指す理想的
な姿」、つまり“組織ビジョン”を掲げて経営革新を実践することを奨励して
います。

 ところが、“飛躍の法則”では、まず、新しい“組織ビジョン”、戦略を
策定し、その方向へ人びとを結集するのではなく、最初に、“適切な人”を
仲間に選び、“不適切な人”を仲間から降ろすこと、その後に、向かうべき
組織ビジョンを決めるというリーダーシップが、“偉大な企業”を生み出して
いるという調査結果だそうです。

 そして、この“適切な人”とは、「一緒に働く人たちに愛情がもてる人たち、
尊敬で結ばれた人たち、助け合うことに喜びを感じる人たち、一緒にいることが
楽しい人たち、仕事を愛する人たち」と説明されています。そうなんです。
サウスウエスト航空の創業者ハーブ・ケレハーと社員のみなさんの姿です。

 さらに、“適切な人”のイメージは、企業人としてだけではなく、家族と過ごす
時間を大切にしていたり、教会には欠かさず通っていたり、出身大学の理事として
活動したりと、職場だけではなく、自宅でも、社会活動でも素晴らしい人生を
おくっているリーダー像として描写されています。

■まず自分自身が変わり“適切な人”の組織をつくる

 ただ、ここで、誤解しないで、いただきたい。よく、「うちのような中小企業
では“適切な人”なんて、贅沢に選んでなんかいられないよ」とおっしゃる方が
いますが、まず、リーダー自身が己に問いかけていただき、自ら“適切な人”に
なろうと決意し、日々の中で、態度に表すことです。古くから“類は友を呼ぶ”
といいます。リーダーの考え方に似通った者が自然に寄り集まるということです。
また、“魚は頭から腐る”という諺もあります。リーダー自身がまず変わることです。

 組織の革新はリーダー本人自身の革新からしか始まらないのですから。その上で、
“適切な人”をわが社は求めているのだということを、明確な人材像として表現
し続ければよいのです。そうすれば、“適切な人”が集まった組織を形成すること
ができ、一人の天才が動かす組織(Time Telling)から、メンバー一人一人が自分
の判断で動かす組織(Clock Building)に変わって行けるのです。(つづく)

(文責:株式会社総合教育研究所 石橋正利)

★次号予告★
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次回は、『経営革新に成功するための組織づくりPart2(2)
             −魚が飛んで成功がやってきた−』です。
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